第3回 プレミアム四合瓶を楽しむ会

先週の金曜日、「第3回 プレミアム四合瓶を楽しむ会」を開催致しました。

ご参加頂きましたお客様、誠にありがとうございました。

2019年最後となる日本酒会は、昨年同様、豪華なラインナップをご用意させて頂きました。

 

それでは今回の出品酒ですが、乾杯酒を含めまして合計18銘柄です。

この中で乾杯酒にさせて頂いたのは、一番右端にあります「而今 純米大吟醸 特上雄町」です。

史上初となる特上の雄町で醸した「而今」最高峰となるお酒です。

「雄町」は100年以上も前に発見され、栽培が続けられている酒米で、唯一混血のないお米です。

品種改良が行われていない古代品種のため、栽培が非常に難しく、穂が長く全体に登熟しないため、昭和26年に農産物検査法が出来て以来、「雄町」の特上は世に出ることはありませんでした。

農家の方々にとっては、特上の「雄町」を出すことが悲願だったわけです。

そして、平成30年秋、農家さんの努力が実り、わずか28俵だけ特上の等級がつきました。

その割合は、平成30年産の雄町米の中で、わずか0.1%、特等でも2.7%という数値からもその栽培の難しさが分かります。

木屋正酒造さんでは、特上雄町米28表をすべてもらい受け、精米歩合40%まで磨いて醸したお酒がこちらになります。

まさに乾杯酒としてふさわしいお酒で、皆さん、大絶賛でした!!

今度はいつ飲めるのでしょうか…。

 

その他右から順番に…

①磯自慢 中取り 純米大吟醸35 Adagio 2018

②磯自慢 中取り 純米大吟醸35 2018

③楯野川 純米大吟醸 七星旗 2016Vintage

④くどき上手Jr. 純米大吟醸 愛山33

⑤勝山 純米大吟醸 伝

⑥不動 純米大吟醸 山田錦33%磨き 創業330年記念酒

⑦〆張鶴 純米大吟醸 白ラベル

⑧梵 日本の翼 純米大吟醸

⑨常きげん KISS of FIRE 純米大吟醸

⑩Ohmine SAKE STORM COWBOY JUNMAI DAIGINJO

⑪東一 純米大吟醸 雫搾り斗瓶貯蔵 選抜酒 22BY

⑫東一 純米大吟醸 雫搾り斗瓶貯蔵 選抜酒 23BY

⑬新政 異端教祖株式会社 2017

⑭新政 亜麻猫オーク2016 蔵内熟成別誂

⑮新政 No.6 B-type 2019特別頒布会

⑯新政 No.6 G-type 2019特別頒布会

 

①②は「磯自慢」年末限定の最高峰となるお酒です。

②は2008年に開催されました洞爺湖サミットの夕食会で、乾杯酒に選ばれたお酒として有名です。

人と自然が織り成す日本酒は、毎年微妙なバランスの違いが生じます。

そこで、一年一年のビンテージの個性を年号に表したいと考え、その年の年号がラベルに記載されています。

当然、商品価格も変わってきますし、「磯自慢 中取り純米大吟醸35」に相応しくない日本酒が出来た場合にには商品化されないという、こだわりの日本酒です。

一方、①は、ステンレス製の槽で自然圧のまま搾り、垂れてくるお酒を常に利き酒しながら、この上ない中垂れのみ別囲いし、瓶詰め、瓶火入れした後、特殊なアダージョ専用冷蔵貯蔵庫の中で長い眠りにつき、目覚めたお酒がAdagio(アダージョ)として商品化されたものです。

この2つは非常に貴重な飲み比べとなりました。

 

③は山形県産出羽燦々を7%まで磨いたVintageバージョンです。

通常の「七星旗」とは酵母が異なり、こちらは7号酵母が主体となっています。

熟成させることを目的に造られましたが、いよいよ満を持して蔵出しされたものです。

こちらもご好評でした。

 

④はくどき上手Jr.の「愛山」酒で、今年の新商品です。

乾杯酒の「而今」は「特上」の「雄町」を使用していますが、このお酒は「特上」の「愛山」を使用しています。

くどき上手史上初の特上愛山米になると思います。

「雄町」と比べると、「愛山」の特上比率は8.3%とかなり高い割合になってはいますが、もともと高価な「愛山」米ですので、それ相当な高額米になるのではないでしょうか。

 

⑤は宮城県で現存する唯一の伊達家御用蔵が醸すお酒です。

こちらのお酒は、フランス人によるフランスの日本酒品評会KURA MASTER2019で、最高賞となるプレジデント賞を受賞したお酒です。

また、同じ日に授賞式が行われたイギリスでのIWCでも最高賞を受賞しましたので、英仏で最高賞をダブル受賞した史上初のお酒となりました。

ローストビーフにもよく合う、食中酒としても素晴らしいお酒でした。

 

⑥は990本限定で発売されたものです。

「不動」を醸す鍋店さんは、1689年創業となりますので、今年で創業330周年となります。

その記念酒として企画・製造されたもので、兵庫県特A地区の山田錦を33%まで磨いて造られています。

 

⑦は「〆張鶴」では珍しい純米大吟醸酒です。

弊社でも「純」で有名な純米吟醸酒を取り扱っていますが、純米規格となるお酒はあまり造られていません。

しかも、純米大吟醸となると、過去に2度しか造られていないんです。

宮尾酒造さんは新潟県村上市に蔵を構えていますが、皇后陛下雅子様のゆかりの地であることから、雅子様御成婚の時、そして愛子様ご誕生の時に、お祝いとして造られました。

そして、今回、雅子様が皇后陛下になられること、また、宮尾酒造さんが創業200年という節目の年であるということを祝して、発売されることとなりました。

次回はいつ発売されるのか分かりませんので、大変貴重なお酒でした。

 

⑧は国賓をもてなす祝賀パーティーなどで採用されることの多い「梵」のお酒です。

こちらのお酒は、精米歩合20%の純米大吟醸と精米歩合35%の純米大吟醸をブレンドし、0度以下で約2年間熟成させたお酒です。

2007年から政府専用機の機内酒として採用されています。

 

⑨は酒造りの神様とも称される農口尚彦氏が、かつて杜氏として腕を振るっていた鹿野酒造さんが醸しているお酒です。

約3年間熟成させた長期熟成酒です。

2005年ルイ・ヴィトン日本法人のニューイヤーパーティーで、日本酒として初めて乾杯酒として採用されました。

また、2012年、2013年にはストックホルムで開かれたノーベル賞受賞ナイトキャップパーティでも2年連続で使用されています。

 

⑩は大嶺酒造さんが新たに立ち上げたブランドです。

グラミー賞を7回受賞したミュージシャンでもあり、世界的音楽プロデューサーでもある「ファレル ウィリアムス氏」と大嶺酒造さんと親交のあった、ストリートの先駆者であり、A BATHING APEの創業者である「NIGO氏」が約2年の歳月をかけて完成させたブランドです。

38%精米の純米大吟醸酒の中取りだけを瓶詰めしたものになります。

海外の方からも非常に人気があるそうです。

 

⑪⑫は五町田酒造さんが誇る選抜酒です。

現在、松本酒造さんで製造部門の特別顧問になっている勝木慶一郎氏が、まだ五町田酒造さんで酒造りをされていた時の長期熟成酒です。

斗瓶貯蔵したものの中から、特に出来の良いものが選抜酒として選ばれたものになります。

お燗でもお楽しみ頂きましたが、さすがは「東一」というバランスの良いお酒でした。

 

⑬⑭は白麹を使って醸したお酒です。

「亜麻猫」は「白麹」に加えて、「黄麹」をブレンドする設計となっていますが、「黄麹」を混ぜてしまうと「白麹」ならではの特徴である、爽やかな酸味やアミノ酸が少ないことによる、くっきりとした輪郭がぼやけてしまうということで、「黄麹」を極力使わない製法を追い求め、試行錯誤を続けてきたそうです。

そして、原料米をよく削ることで溶解性を高め、もろみ期間を長期化するなどで、地道に溶解性を上げていくしかないという結論に達しました。

そこで、比較的溶けやすいとされる、秋田県の高級酒米「美郷錦」を使い、精米歩合を40%に設定し、造り上げたのが「新政 異端教祖株式会社 2017」です。

ヴィンテージとしても楽しめるお酒だそうですが、いい意味で、まさに「異端」なお酒でした。

 

⑮⑯は2019年度の特別頒布会のものです。

No.6シリーズですので、どちらも生酒です。

⑮のB-type(Bodaimoto-type)は「菩提もと仕込み」のB、⑯のG-type(Genroku-type)は「元禄仕込み」のGを意味しています。

⑮は初めての「菩提もと」での生酒になるようです。

「風の森」の日本酒会でもお話ししましたが、室町時代に菩提山正暦寺で創醸された技法です。

一方、⑯は大変少ない仕込水で発酵を行わせるという1600年代の古文書に記された製法です。

濃醇甘口になりますので、まだ砂糖のなかった時代には「甘露」ともいうべき貴重な飲み物だったことが伺えます。

甘口好きなお客様に特にご好評頂いたようです。

 

これらの出品酒とは他に、弊社冷蔵庫で氷温貯蔵していた「久保田 紅寿 22BY」を特別に出品させて頂きました。(写真はすっかり撮り忘れてしまいました…)

さすがに老香があるのではと思われましたが、まったくそんなことはありませんでした。

これにはお客様もびっくりされていました。

 

 

それからお料理ですが…

先 付  蕪の柚子甘酢漬け

前 菜  ローストビーフ  むかご  春菊の白和え

焼き物  鰻肝焼き

蒸し物  女将特製 白子の茶碗蒸し 黄ニラ餡掛け

焼き物  関西風白焼

煮 物  女将特製 東京軍鶏団子のスープ煮

食 事  うな丼 出し汁 薬味

香の物  胡瓜 大根 蕪 人参 守口漬

 

先付は、この時期最も甘く美味しい季節ですので、蕪を使った甘酢漬けにしてみました。

前菜には、クリスマスも近いということもあり、若女将の兄特製となるローストビーフ、そして旬のむかごと春菊をそれぞれ使った3品をご用意させて頂きました。

焼き物は、日本酒とも相性の良い肝焼きと関西風白焼です。

蒸し物には、毎回ご好評を頂いている白子と黄ニラを使った茶わん蒸しです。

煮物は、東京軍鶏で作った鶏団子と鶏がらからじっくり出汁をとったスープです。

今年も、女将がとりわけします「お鍋」でご用意したかったのですが、この日は大きな宴会がいくつも入ってしまい、、女将大忙しの為、残念ながら椀物でご提供させて頂きました。

 

おかげさまで、お料理、お酒どちらもご好評を頂けたようです。

ありがとうございます。

 

 

年末最後の日本酒会まで、多くのお客様にご出席頂き、大変感謝しております。

来年も1月から日本酒会を開催する予定です。

引き続き、変わらぬご愛顧の程、何卒よろしくお願い申し上げます。