昭和~平成を彩った日本酒を楽しむ会
先週の金曜日、「昭和~平成を彩った日本酒を楽しむ会」を開催致しました。
ご参加頂きましたお客様、誠にありがとうございました。
さて、今回の出品酒ですが、乾杯酒を含めまして、合計17銘柄です。
この中で乾杯酒にさせて頂いたのは…
一番右端にあります「二兎 純米吟醸 雄町55 うすにごりスパークリング」です。
5月から元号も「平成」から「令和」に変わり、「令和」になって初めての日本酒会ということもありますので、乾杯酒(御祝酒)としてスパークリングの日本酒を選ばせて頂きました。
ラベルも可愛い、こちらのスパークリングは、愛知県の老舗蔵、丸石醸造さんが醸しています。
これからの季節にもピッタリではないかと思います。
その他右から順番に…
①越乃寒梅 普通酒 大江山産
高度経済成長とともに日本酒消費量が伸び、1973年にピークを迎えました。
そんな中、地酒にも注目が集まるようになり、第一次地酒ブームが起こります。
幻の酒とも言われた新潟の銘酒「越乃寒梅」が登場するわけです。
常連のお客様の中には、当時は熱狂的に「越乃寒梅」を飲んでいたにもかかわらず、もう長いこと飲んでおらず、久しぶりに、あらためて飲んでみて、その懐かしい味わいとともに、その時代をしみじみと回想されておられる方もいらっしゃいました。まるで音楽のようだなぁと思いました。
ちなみに、こちらの酒は、新潟県の地域限定で販売されているのもので、東京では販売されていません。
②田酒 純米吟醸 山田錦
その後、80年代になって、第二次地酒ブームが起こります。
昭和49年(1974年)には「田酒」の純米酒が発売されます。
そして、昭和56年に「特撰街」にて、日本一うまい酒に選ばれることで、一躍有名になります。
今回の酒は、30BYで初めて、「山田錦」50%精米規格の純米吟醸として発売されたものです。
③菊姫 鶴乃里 山廃純米 生原酒
同じ頃、「田酒」と同様、石川県の「菊姫」なども人気になります。
こちらの酒は、愛飲家からの要望により、29BYから発売された生酒バージョンで、通常の火入れではなく、「しぼりたて」の酒として、限定で販売されたものになります。
生酒ではありますが、温めてもやはり、さすが「菊姫」という味わいでした。
④黒龍 火いら寿 純米大吟醸 生
昭和50年(1975年)、「黒龍 大吟醸 龍」が発売されました。
これまで、品評会向けなどでしか造られてこなかった、高級酒である「大吟醸酒」を、全国に先駆けて、黒龍酒造が発売したわけです。
こちらの酒は、黒龍酒造が醸す、高級酒の一つで、唯一、純米大吟醸の生酒バージョンとなるものです。
2月に発売されるものですが、暑いときに特に飲みたくなるような酒でなないかと思います。
⑤出羽桜 花酵母仕込 吟醸酒
80年代半ばになると、長期低温発酵させた吟醸酒「出羽桜 桜花吟醸酒」が登場します。
これまでなかったフルーティーで華やかな香りの酒が人々を魅了したわけです。
「吟醸酒」という言葉を世に広めたのは、出羽桜酒造さんだと言われています。
こちらの酒は、東京農業大学が「プリンセス・ミチコ」という薔薇の花から「花酵母」の分離に成功し、農大の卒業生である出羽桜酒造さんが醸したものになります。
ちなみに同じ農大卒業生である他の6社の蔵元も同様に、「プリンセス・ミチコ」の花酵母を使って醸しています。
この「プリンセス・ミチコ」という薔薇は、1966年英国ディクソン社が作り出した美しいオレンジ色の薔薇で、当時皇太子妃であった美智子様に、英国エリザベス女王が献呈したことから、1967年にプリンセス・ミチコと命名されました。
⑥久保田 生原酒 2011.1
世の中がバブル期に入ると、これまでの飲み応えのある酒から、すっきりとした新潟の酒が注目されるようになりました。
「淡麗辛口」と言われる酒の登場です。
新潟の銘酒「久保田 千寿」や「久保田 百寿」は昭和60年(1985年)に発売され、その後発売された「久保田 萬寿」などとともに、人気を博します。
こちらの酒は、2011年1月に出荷されているものですので、弊社冷蔵庫にて、約8年熟成させたものになります。
貴重なものだと、皆さん興味を持ってくださり、喜んでくださいましたが、熟成が成功したのかは、よくわかりませんでした。
⑦十四代 超特撰 純米大吟醸
1994年(平成6年)には、いよいよ「十四代」が登場します。
これまで一大ブームを巻き起こした「淡麗辛口」から、「芳醇旨口」にシフトさせるきっかけとなった酒です。
しかも、「十四代」を醸す高木顕統氏は、「蔵元杜氏」の先駆けとも言われています。
こちらの酒は、「山田錦」を35%まで磨いた、「十四代」の中でも高級酒に位置づけられているものです。
バランスの良さはさすがでした。
⑧飛露喜 大吟醸 2016.12
1999年(平成11年)、廣木酒造さんが「無濾過生原酒」を世に出します。
これまで味わったことのない、瑞々しく、フレッシュな味わいの酒に人々は魅了されます。
こちらの酒は、「飛露喜」の最高峰となるとなるものですが、弊社冷蔵庫で、約2年半ほど熟成させたものです。
角がとれ、まろやかになったこの酒が、今回一番美味いとおっしゃるお客様もいらっしゃいました。
⑨醸し人久平次 純米大吟醸 協田
1997年(平成9年)「醸し人久平次」が発売されますが、2006年(平成18年)には、パリの三つ星レストランでオンリストされます。
これまで忌み嫌われていた「酸」が、注目され始めます。
こちらの酒は、萬乗醸造さんのスタッフが稲作期間中、移住し、赤磐雄町米を作る農家の方々と、協に(ともに)田を耕すことから、「協田」と名付けられたものです。
「雄町」で醸した、最高峰の酒(精米歩合40%)となります。
⑩而今 純米吟醸 山田錦
「十四代」、「飛露喜」、そして「而今」と、蔵元杜氏が醸す酒がますます人気になります。
こちらの酒は、三重県産の「山田錦」で醸した酒です。
⑪獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分 早田 「ANA SUI」×「KANSAI YAMAMOTO」
1990年(平成2年)に東京へ進出し、92年には「磨き二割三分」が発売されます。
2014年には、オバマ大統領に「獺祭」がプレゼントされることで、さらにブレイクします。
2017年には、「高く買わないで」と広告されるほど、一時は正規販売店以外の店で、定価の数倍もの価格で販売されていた時期もありました。
こちらの酒は、明治大学の故早田教授との共同開発で生まれた、マイクロバブル製法で醸した酒で、通常の火入れよりもさらにフレッシュな味わいになります。
また、ラベルはファッションデザイナーである「ANA SUI」、「山本寛斎」両氏によるデザインになっています。
⑫NEXT5 hyougemono(へうげもの) 2018 生もと純米大吟醸
2010年(平成22年)からは、秋田県の5つの蔵で結成された若手蔵元集団である「NEXT5」による共同商品が造られるようになります。
その後、他の県でも、いくつかの蔵元が共同で企画商品を造るなど、蔵元同士の交流も盛んになります。
こちらの酒は、「へうげもの」という山田芳裕さん原作の漫画とのコラボ商品となっています。
⑬あざくら りんごちゃん 無濾過生
近年では、低アルコール酒も数多く造られるようになりました。
一般的には15度から17度ほどのものがほとんどですが、夏酒のように加水してアルコール度数を下げたものや、原酒ながら低アルコールのものもあります。
こちらの酒は、アルコール度数が12度ながら原酒となっており、またリンゴ酸高生産性多酸酵母といわれる77号酵母で醸していますので、酸がとても高くなっています。
特に、これからの暑い季節には、ぴったりです。
ちなみに、こちらの酒を燗酒にしてみましたが、燗が旨いというお客様もいらっしゃいました。
⑭風の森 純米 雄町80 笊籬採り
低アルコールの酒と同様、低精米の酒も近年では、多く造られるようになっています。
こちらの酒は、低精米であり、さらにガス感のある酒で、空気に触れさせることなく、採ることを可能にした「笊籬採り」という方法で上槽されています。
⑮阿武の鶴 純米58 生
日本酒の消費が徐々に低迷していった70年代後半以降、山口県の阿武の鶴酒造さんも、1983年(昭和58年)自社醸造を休止していましたが、息子さんである三好隆太郎さんが、34年振りに自社醸造を復活させました。
こちらの酒は、自社醸造を休止した年である「昭和58年」、そして「昭和58年」生まれである三好さんの誕生年、さらにはゴーヤ(58)にかけて、ラベルデザインされています(58%精米)。
こういったラベルは、数十年前までは考えられなかったような日本酒ラベルで、日本酒のイメージを大きく変える一つのきっかけにもなっていると思います。
(特別出品)御苑 純米大吟醸
宮内庁生活協同組合で販売されている酒で、「幻舞」を醸す酒千蔵野さんが醸しています。
お客様からの頂き物ですが、令和最初の日本酒会に相応しいのではないかと思い、御祝の気持ちを込めて特別に出品させて頂きました。
今回は、日本酒の歴史(約半世紀)を振り返りながら、日本酒をお楽しみ頂きましたので、様々なタイプの酒をお楽しみ頂けたのではないかと思います。
「令和」の時代においても、多くの酒蔵が、素晴らしい日本酒をたくさん造ってくれると思います。
どんな日本酒と出会えるのか、とても楽しみです。
それからお料理ですが…
先 付 冷奴 枝豆
前 菜 粟麩の田楽/八丁味噌 蓬麩の田楽/西京味噌 関西風白焼/山椒味噌 ホタルイカと分葱のぬた
お造り 神奈川県産ヒラマサ 兵庫県産コチ
焼き物 肝焼き
煮 物 女将特製 揚巻湯葉と高野豆腐の炊き合わせ アスパラ添え
焼き物 鮎の塩焼き
食 事 うな丼 出し汁 薬味
香の物 胡瓜 大根 蕪 人参 守口漬
先付は、平凡ではありますが、いつの時代になっても愛され続けるであろう、永遠のおつまみ2種です。
前菜も、どんな時代になっても伝えていきたい日本の代表的な発酵食品である「味噌」を使った3種、味噌三昧です。
お造りには、ブリ、カンパチとともにブリ御三家と言われるヒラマサと、高級白身魚コチです。
煮物は、令和の時代にも伝えていきたい素晴らしい日本の乾物を使った料理です。
焼き物には、この季節旬の鮎の塩焼きです。
お料理はいかがでしたでしょうか?
最後に、今回もじゃんけん大会を行いました。
勝った方には、「NEXT5 へうげもの」についてきた「ぐい呑み」2種と「田酒」の一升瓶袋をプレゼントさせて頂きました。
〆は、元応援団長のKさんにお願いしました。
いつも素晴らしい〆のご挨拶、ありがとうございます。
初めてご参加頂いたお客様も5名様いらっしゃいました。
ありがとうございます。
またのご参加お待ちしております。
次回は来月6月に「風の森を楽しむ会」を予定しております。
よろしくお願い致します。