新政NO.6とソガペールエフィスを楽しむ会

昨日、「新政NO.6とソガペールエフィスを楽しむ会」を開催致しました。

ご参加頂きましたお客様、誠にありがとうございました。

 

「新政」を醸しているのは、1852年創業となる新政酒造さんです。

2007年に入社した佐藤祐輔さんが8代目として、新政酒造さんを引き継いでいます。

一方、「ソガペールエフィス」を醸しているのは、1942年創業となる小布施ワイナリーさんです。

4代目となる曽我彰彦さんが、雪と厳寒で畑仕事ができないわずか数週間、ワイン造りから離れ、趣味で極小量のSAKEを造っています。

ただし、もともとは1867年創業で、戦前は「泉瀧」という銘柄で地元に愛される酒を造っていたそうですが、第二次世界大戦が激しくなるつけて米不足となり、昭和17年企業整備例により廃業を余儀なくされました。

当時の当主であった曽我市之丞さんがやむなくワイン造りを始めたことが、今のワイナリーへとつながったようです。

 

さて、今回、「ソガペールエフィスを楽しむ会」というタイトルで、皆様にはご案内していましたが、ソガペールエフィスだけでは量が少ないので、それとリンクするような酒で、何か良いものがないか検討した結果、新政NO.6がふさわしいのではないかと判断し、両者の飲み比べ企画にさせて頂きました。

なぜ、この二つの銘柄にしたかと言うと、いくつかの共通点があるからです。

まず一つ目ですが、新政酒造さんでは2010年から、全量秋田県産米を使用しており、小布施ワイナリーさんではブルゴーニュ的単一品種思想により、長野県産の美山錦のみを使用していることが挙げられます。

すなわち両者とも、地元の酒米を使用して、酒を醸しているわけです。

二つ目が、新政酒造さんでは2009年からになりますが、6号酵母のみを使用し、小布施ワイナリーさんでは、きょうかい1号から6号酵母のみを使用、または酵母無添加(古典生もと)で酒を造っていることです。

ちなみに、6号酵母は昭和5年、新政酒造さんの醪から分離されたもので、昭和10年から現在まで、日本醸造協会から頒布されている酵母になります。

すなわち、両者は一桁酵母(クラシック酵母)を使用、または、酵母無添加(新政酒造さんでも今後酵母無添加の酒を増やしていきたいそうです)で酒を造っているということになります。

三つ目は、全量生もと仕込みであるということです。

四つ目が、醸造における純粋性を尊ぶため、さまざまな副産物となるようなものを使用していないということです。

新政酒造さんでは、酸類、無機塩類、酵素剤が無添加、小布施ワイナリーさんでは、活性炭、除酸剤、酵素、培養乳酸菌、培養硝酸還元菌、無機塩類などは無添加となっています。(裏ラベルに記載)

そして、ソガペールエフィスはすべて「生原酒」ですので、新政酒造さんの定番商品の中で唯一「生原酒」である「NO.6」を出品したわけです。

 

 

 

それでは今回の出品酒ですが、乾杯酒を含めまして、合計15銘柄です。

この中で乾杯酒とさせて頂いたのは…

一番右端にあります「新政 NO.6 H-type 木桶仕込」です。

こちらは店舗限定となるもので、定番のNO.6シリーズとは異なり、木桶で仕込んであります。

いずれはすべての酒を木桶で仕込みたいとの思いもあるようですが、その木桶を作れる職人も少なくなってなってしまったことから、自ら木桶を作ることを計画(実施)しているそうです。

 

その他右から順番に…

①新政 NO.6 X-type

②新政 NO.6 S-type 

③新政 NO.6 R-type

④ソガペールエフィス サケエロティック 生もと ヌメロアン

⑤ソガペールエフィス サケエロティック 生もと ドゥー

⑥ソガペールエフィス サケエロティック 生もと トロワ

⑦ソガペールエフィス サケエロティック 生もと キャトル

⑧ソガペールエフィス サケエロティック 生もと サァンク

⑨ソガペールエフィス サケエロティック 生もと ヌメロシス

⑩ソガペールエフィス サケエロティック 生もと ヌメロシス

⑪ソガペールエフィス サケエロティック 生もと ヌメロシス

⑫ソガペールエフィス リア サケ ナチュレル 生もと

⑬ソガペールエフィス ル サケ ナチュレル70 古典生もと

 

①②③はNO.6シリーズの定番商品3種類になります。

30BYから(?)精米歩合も変わり、新NO.6シリーズといったところでしょうか。

豪華版のX-typeが特に人気だったようです。

 

④はきょうかい1号で醸したものです。

きょうかい1号は、明治39年、兵庫県灘の「櫻正宗」から分離されたもので、大正6年から昭和10年まで、日本醸造協会から頒布されていました。

 

⑤はきょうかい2号で醸したものです。

きょうかい2号は、明治末期、京都市伏見の「月桂冠」の新酒から分離されたものです。

大正6年から昭和14年まで頒布されていました。

 

⑥は3号酵母で醸したのものになります。

大正3年、広島県三島の「酔心」の新酒から分離されたものです。

昭和6年ごろ、保全中に変性したとして使用が中止になりました。

 

⑦はきょうかい4号で醸したものになります。

広島県の酒造場から分離されたようですが、未だにどの酒造場からなのかは不明です。

こちらも、3号同様、昭和6年ごろ、保存中に変性したとして使用中止になりました。

 

⑧はきょうかい5号で醸したものになります。

大正12年ごろ、広島県西条(現 東広島市)の「賀茂鶴」の酒母または新酒から分離されました。

大正14年から昭和11年まで頒布されていました。

 

⑨⑩⑪はきょうかい6号で醸したものです。

表ラベルはすべて同じですのでわかりにくいですが、米の産地違いになります。

⑨が小布施北部に広がる田園地帯で、池田農園の美山錦で醸したものになります。

⑩は長野県酒造組合の美山錦で醸したものです。

⑪は岩魚の住む柞沢(たらさわ)川の清流を水田に取水した三浦農園の美山錦で醸したものになります。

これらは、テロワールを意識したものではないかと思います。

味の違いをはっきりと感じられた方もいらっしゃり、飲み比べも楽しいものでした。

 

⑫はきょうかい1号から6号まですべて酵母をブレンドして醸したものです。

④から⑪まではすべて精米歩合59%でしたが、⑫と⑬は精米歩合が70%となっています。

あまり米を磨かない理由は、田幸さよ子さんが作る無農薬の美山錦によるようです。

 

⑬は培養酵母無添加(古典生もと)で醸したものです。

きょかい酵母が日本醸造協会から頒布される前は、こういった培養酵母無添加で、自然発酵の天然酵母で醸したものがほとんどでした。

ロマンが感じられる酒です。

 

最後に特別出品としまして、「玉川 純米吟醸 祝 無濾過生原酒 一号酵母」もお楽しみ頂きました。

日本醸造協会が頒布するようになった一番目の酵母(一号酵母)を使用しているのは、私が知る限り、発祥蔵である櫻正宗さん、小布施ワイナリーさん、そして「玉川」を醸す木下酒造さんのものだけです。

なかなか飲むことのできない酒ですので、ソガペールエフィスのヌメロアン(一号酵母)と合わせて、飲み比べ頂きました。

「玉川」との相性もよいのか、飲みにくさは全くありませんでした。

むしろ、なかなかいい酒ではないかと。

 

今回の企画はややマニアックなものだったと思いますが、いかがでしたでしょうか?

 

それからお料理ですが…

先 付  胡麻豆腐 グリーンピースソース

前 菜  空豆  塩豚  筍のサーモン巻き  プチトマトの蜂蜜掛け

お造り  平目と真蛸のカルパッチョ

焼き物  関西風白焼

煮 物  女将特製 卯の花の炒り煮

揚げ物  鯛とアスパラの春巻き 信州味噌

食 事  うな丼 出し汁 薬味

香の物  胡瓜 大根 人参 蕪 守口漬

 

先付は、見た目も春らしいグリーンピースソースで、冷製胡麻豆腐をお召し上がり頂きました。

前菜は旬の空豆や塩で味付けしたシンプルな塩豚、そしてこちらも旬の筍をサーモンで巻いて焼いたもの、爽やかな酸味のあるプチトマトにまろやかな甘みのある蜂蜜を掛けたものです。

蜂蜜はHACCIのものを使用しておりますが、まるでトマトが甘~いフルーツのようになります。

お造りは、日本酒が白ワインのような印象もありますので、カルパッチョでご用意してみました。

 

煮物は女将の一品で、この時期定番になりますが、卯の花の炒り煮です。

9種類の具材を使用しております。

揚げ物は、鯛とアスパラ、椎茸などを春巻きの中に入れ、長野県を意識して、信州味噌に卵黄などを混ぜたもので味付けをしてみました。

 

お料理はいかがでしたでしょうか?

 

今回で80回目となる日本酒会、そして平成最後の日本酒会ということで、恒例のじゃんけん大会も行いました。

先日、私が常連様から頂戴しました「伯楽星」を醸す新澤醸造店さんの高級酒「残響 SUPER7」を12名の方にお裾分けさせて頂きました。

盛り上がったことは、言うまでもありません。

勝った方、おめでとうございます!

 

来月の日本酒会も皆様に喜んで頂けるよう頑張ります。

よろしくお願い致します。