豊盃を楽しむ会
先週金曜日「豊盃を楽しむ会」を開催致しました。
(掲載が遅くなりまして申し訳ございません。)
ご参加頂きましたお客様、誠にありがとうございました。
「豊盃」を醸しているのは、青森県弘前市に蔵を構える三浦酒造さんです。
創業は、酒蔵としては新しく、昭和5年ですので、今年で創業88年ということになります。
青森県内では最も新しい酒蔵になります。
現在は5代目となる三浦剛史さんと弟の史仁さんが、1999年から杜氏として酒造りの陣頭に立ち、家族中心の丁寧かつ小仕込みにこだわった酒造りを行っています。
近年では、蔵元杜氏が増えつつありますが、三浦兄弟が杜氏になった頃はまだまだ少なく、蔵元杜氏の先駆けと言ってもいいかも知れません。
三浦兄弟が幼少期の頃から杜氏として酒造りをされていた南部杜氏の方が辞めてしまい、その後やって来た南部杜氏や津軽杜氏の方とはなかなか良いご縁ができなかったことから、今後は外部杜氏に任せるのではなく自分の息子たちに酒造りを託そうと、父親である三浦慧さんが思い立ったのがきっかけです。
始めは試行錯誤しながら酒造りを行っていましたが、7年、8年と経験を積むうちに、少しずつ自分たちの造りたい酒が出来上がっていったそうです。
三浦酒造さんの特徴としては、契約栽培米である「豊盃米」を多用していることが挙げられます。
「豊盃米」は昭和51年に誕生した青森県の酒米ですが、当時の県知事の出身地が青森県の森田村であり、この森田村が発祥とされている民謡で、兵士の士気を鼓舞する唄「ホーハイ節」から、その「ホーハイ」をとり、「豊かな盃」と書いて「豊盃」米と名付けたそうです。
その後、三浦酒造さんはこの「豊盃米」を使って美味しい酒を造ってくれないかと県知事から直々に依頼され、「豊盃米」で醸すようになったことが「豊盃」という銘柄が誕生した由来となります。
また、年間の生産量としては現在約400石ほどですが、この規模としては珍しく、自家精米機を所有していることも特徴として挙げられます。
これは、農家の方々が苦労して大切に育ててくれた酒米を、自分たちの手で丁寧に精米したいという思いからだそうです。
それでは今回の出品酒ですが、乾杯酒を含めまして合計16銘柄です。
この中で乾杯酒とさせて頂いたのは…
一番右端にあります「豊盃 大吟醸 つるし酒」です。
鑑評会出品酒仕様となるしずく酒の中取りだけを瓶詰したものです。
三浦酒造さんが醸す最高峰となる酒で、兵庫県産の山田錦を39%まで磨いた酒です。
半年以上、蔵の中で熟成されてから出荷されます。
その他右から順番に…
①豊盃 純米大吟醸 大寒仕込
②豊盃 純米大吟醸 山田錦
③豊盃 純米 しぼりたて
④豊盃 純米吟醸 豊盃米 生
⑤豊盃 純米大吟醸 生 レインボー
⑥豊盃 純米 亀の尾 活性にごり酒
⑦豊盃 純米吟醸 華想い
⑧豊盃 純米大吟醸 山田穂
⑨豊盃 純米吟醸 夏ブルー
⑩豊盃 純米大吟醸 豊盃米
⑪豊盃 特別純米 あきあがり
⑫豊盃 純米吟醸 豊盃米
⑬豊盃 特別純米
⑭豊盃 ん
⑮宮寒梅 純米吟醸 AUTUMN TIME
①②は乾杯酒同様、山田錦で醸した酒です。
こちらも39%まで磨き、かつ28BYとなりますので、乾杯酒との飲み比べができます。
純米大吟醸規格としては、この酒が最高峰となります。
②は29BYの火入れ酒新酒、第1弾となる酒です。
③④⑤⑥はすべて生酒となります。
③は生酒として新酒第1弾となる酒で、昭和61年に青森県の奨励品種となった酒米「華吹雪」で醸した酒です。
しっかりと米の旨み、甘みもあり、甘旨酒が好みの方にご好評でした。
④は定番酒となる⑫の生酒バージョンです。
⑤はレインボーカラーのラベルが珍しい、「豊盃米」で醸した酒です。
⑥は秋田県産の「亀の尾」で醸した唯一の活性にごり酒です。
ですが、うっすらとにごる程度で、シュワシュワ感もほとんど感じられませんでした。
個人的にはにごり酒やもう少し活性した状態のにごり酒もあるともっと楽しめると思います。
⑦はオール青森で醸した酒です。
昭和14年に青森県の奨励品種となる酒米「華想い」で醸しています。
「華吹雪」が高精白には向かなかったことから、山田錦に匹敵する酒米として「山田錦」を母として、「華吹雪」を父として誕生したものです。
また、青森県のオリジナル酵母である「まほろば吟」を使用しています。
カプロン酸エチルを高生成する華やかなリンゴのような香りがします。
⑧は山田錦の母にあたる「山田穂」で醸した酒です。
蔵内でじっくり2年間熟成させてから出荷されたものです。
冷酒はもちろん、燗酒が映える酒でした。
⑨⑩は夏酒仕様となる酒です。
⑨は秋田県産の美郷錦で醸した酒です。
豊かな酸味でスッキリ感があります。
⑩は豊盃米を使って夏酒っぽく仕上げてあります。
⑪は秋酒です。
昨年は米が不足していたことから造られませんでしたので、2年振りの「あき(秋)あがり」となります。
⑫⑬は通年で出荷される定番酒です。
どちらも「豊盃米」で醸しています。
⑭はCPの良い普通酒です。
東北訛りで「うまい」を「んめぇ」と言うそうですが、この「ん」は「んめぇ」から取ったものだそうです。
冷酒でも燗酒でも「んめぇ」酒です。
⑮は言わば今回の番外品として出品したものです。
「宮寒梅」の秋酒です。
今シーズンからラベルや名称がリニューアルされました。
実は現杜氏の三浦史仁さんはかつて宮城県の寒梅酒造さんで修行されていました。
今回の日本酒会参加者が大勢だったこともあり、もう1本こちらも追加で出品させて頂きました。
「一杯で旨い酒」を目指す「宮寒梅」。
いかがでしたでしょうか。
今回の出品酒は、皆さん好みが分かれていました。
三浦酒造さんが醸す酒は、「豊盃米」を多用していますが、他の酒米との相性も良いようです。
それからお料理ですが…
先 付 鮭の親子おろし和え
前 菜 焼き松茸 塩煎り銀杏 海老真薯の丹波揚げ 鶏ささみのけんちん焼き
お造り ソデイカ 帆立
焼き物 鰻の肝焼き
煮 物 女将特製 秋刀魚 豆腐 車麩 牛蒡の炊き合わせ ほうれん草を添えて
揚げ物 牛蒡 平茸 根三つ葉 ベビー帆立のかき揚げ
食 事 うな丼 出し汁 薬味
香の物 胡瓜 大根 白瓜 人参 守口漬
先付は、東北らしく、鮭やいくらを使い、さっぱりと大根おろしでお召し上がり頂きました。
前菜は、秋をイメージしたものが並んでいます。
松茸、銀杏、栗といった秋の味覚をご堪能頂きました。
お造りは、こちらも東北らしく、イカや帆立を使用しました。
煮物には、女将の一品として、旬の秋刀魚料理です。
秋刀魚と牛蒡で取った出汁が、豆腐や麩にたっぷりと染み込んでいたのではないかと思います。
揚げ物は、青森県産の牛蒡や帆立を使ったかき揚げにしてみました。
お料理はいかがでしたでしょうか?
最後にじゃんけん大会を行いました。
「豊盃大吟醸の酒粕」と「豊盃酒袋」をプレゼントさせて頂きました。
勝った方、おめでとうございます!!
次回は来月10月を予定しております。
皆様のご参加をお待ちしております。
よろしくお願い致します。
また、三浦酒造さんより仕込水をお送り頂きました。
お忙しいところ、ありがとうございました。