栄光冨士を楽しむ会
先日「栄光冨士を楽しむ会」を開催致しました。
ご参加頂きましたお客様、誠にありがとうございました。
「栄光冨士」を醸しているのは、山形県鶴岡市大山に蔵を構えている富士酒造さんです。
1778年、4代目となる加藤専之助有恒氏が創業した歴史ある酒蔵です。
創業当初の銘柄は「富士」で、昭和39年に繁栄の願いを込めて「栄光冨士」という主要銘柄を誕生させました。
大山には現在も4軒の酒蔵(富士酒造、加藤嘉八郎酒造、羽根田酒造、度會本店)がありますが、江戸時代には東北の灘とも呼ばれていたように、最盛期には数十件という酒蔵が密集していました。
ではなぜ酒造業が発生したかというと、大山は徳川の直轄地、すなわち天領であったことから、酒税が3分の1で済んだこと、そして庄内の山々に降り積もった雪が溶け、ミネラル豊富な水が田畑に流れ込んだために良い米が出来たことなどからです。
現在は13代目となる加藤有慶さん(加藤清正の流れを汲む家系)が蔵元として、加藤宏大さん(一族ではない方ですが、偶然にも加藤さん)が杜氏(28BY~)として酒造りをされています。
蔵を継いだ平成18年の頃は、売れない酒が多かったそうですが、酒造りの基本を改めて見直し、特に「原料の処理」と「貯蔵管理」を改善したところ、大幅に酒質が変わったそうです。
数年前に立ち上げた「無濾過生原酒」シリーズは、毎月数銘柄が発売され、年間では20数銘柄となっています。
それでは今回の出品酒ですが、乾杯酒を含めまして合計16銘柄です。
この中で乾杯酒とさせて頂いたのは…
一番右端にあります「栄光冨士 大吟醸 全国新酒鑑評会金賞受賞酒」です。
昨年に引き続き、2年連続での金賞受賞です。
今回ご用意したこちらの酒は、今年の2月蔵出しとなる昨年の金賞受賞酒です。
お客様からも絶賛された、乾杯酒にふわさしい酒でした。
その他右から順番に…
①栄光冨士 純米大吟醸 山田錦 無濾過生原酒
②栄光冨士 ZEBRA 純米大吟醸 無濾過生原酒
③栄光冨士 白燿 純米吟醸 無濾過生原酒
④栄光冨士 GMF26 純米大吟醸 無濾過生原酒
⑤栄光冨士 純米大吟醸 森のくまさん 無濾過生原酒 おりがらみ
⑥栄光冨士 純米大吟醸 酒未来 無濾過生原酒
⑦栄光冨士 純米大吟醸 雄町 無濾過生原酒
⑧栄光冨士 ザ・プラチナ 純米大吟醸 無濾過生原酒
⑨栄光冨士 煌凛 純米大吟醸 無濾過生原酒
⑩栄光冨士 純米大吟醸 愛山 無濾過生原酒
⑪栄光冨士 菫露威吹 純米大吟醸 無濾過生原酒
⑫栄光冨士 七星 純米大吟醸 無濾過生原酒
⑬栄光冨士 SHOOTING STAR 純米吟醸 無濾過生原酒
⑭栄光冨士 SURVIVAL 純米大吟醸 無濾過生原酒
⑮栄光冨士 純米吟醸 朝顔ラベル
①はこの蔵の基本となる一本です。
兵庫県産ではなく、岡山県産の山田錦を用い、唯一全量山田錦で醸した無濾過生原酒です。
②はシマウマラベルの酒です。
28BYでは「五百万石」と謳っていましたが、29BYから「ZEBRA」(シマウマ)に名称が変わりました。
個性あるれる酒米の中でも、「五百万石」という酒米が持っている魅力に、さらに、より多くのお客様に改めて気付いて頂きたいという想いからリブランド商品として名付けられたそうです。
③は白く燿く美山錦を用いて醸した酒です。
「おりがらみ」ながら口の中でべたつくことなく、キレの良い酒です。
リーズナブルでお薦めな一本です。
④は精米歩合26%という最も米を磨いたものです。
インパクトのあるこちらの顔ラベルは蔵元ご本人でしょうか。
GMFすなわちGlorious Mt.Fuji(栄光冨士)の頭文字を取ったものです。
山形県の酒造好適米、出羽燦々を20%代まで高精白した酒は滅多にありません(くどき上手の穀潰しは驚異の22%)。
⑤は熊本城復興祈念として発売されているものです。
熊本県産の「森のくまさん」は「ヒノヒカリ」と「コシヒカリ」を交配して作られた品種です。
夏目漱石が熊本在住時代に、熊本のことを「森の都」と表現したそうですが、「森のくまさん」はその「森の都」「熊本」で「生産」されたという意味を込めて品種名を「森のくまさん」と名付けました。
熊本県のマスコットキャラクター「くまモン」とは異なるようですが、可愛らしいラベルですね。
今回のおりがらみバージョン(妙延)と通常バージョン(熊太郎)の2銘柄が発売されています。
⑥⑦は人気酒米「酒未来」と「雄町」で醸した酒です。
唯一年2回発売されていますので、富士酒造さんのお気に入りの酒米なのでしょう。
雄町好きな方には是非飲んで頂きたい1本です。
⑧はプラチナの輝きをイメージした美しい味わいの酒です。
山形県初の大吟醸用に育成された酒造好適米「雪女神」を全量使用しています。
GMF26に次いで、33%まで磨いています。
⑨は春をイメージしたピンクラベルの酒です。
春が訪れるときに凛と煌くイメージです。
出羽燦々を50%まで磨いています。
⑩は人気酒米「愛山」を用いた1本です。
愛山酒らしく甘みは強いですが、綺麗な甘みで飲みやすく、早々に空瓶になっていたようです。
⑪は今回の出品酒の中で唯一2種類の酒米を使用しています。
他の「無濾過生原酒」では9号系由来の山形酵母を使用していますが、こちらは10号酵母を使用しています。
「栄光冨士」は長年に渡り、協会10号酵母を多く使用し続けて酒を醸していますが、10号酵母の味わいも伝えたいとの想いで、「威吹」は10号酵母を使用しているそうです。
⑫⑬は夏酒です。
「七星」は「北斗七星」にあやかり、夏の夜にキラリと輝く酒をイメージ、そして「SHOOTING STAR」は夏の夜空に流れる流れ星のような飲み口の、夏にスッキリと飲めるような酒をイメージしたそうです。
まさに夏向けの酒です。
⑭は240周年記念の限定蒼ラベル、迷彩柄です。
山形県内の酒造好適米の中でも収穫量こそ多くはないものの、1983年に育成されてから現代に至るまで、根強く支持を得ている「生き抜く力強さ」にあふれた酒米「玉苗」を使用しているため、このような名前が付けられています。
⑮は今回のラインナップの中で唯一火入れの酒(乾杯酒を除く)です。
「無濾過生原酒」シリーズが誕生する以前から醸されている酒です。
実は⑪と同じ酒米(美山錦77%、山田錦23%)、精米歩合(50%)となっています。
もしかすると⑪の「威吹」で10号酵母を使用している理由はここにあるのかも知れません。
飲み飽きせずに飲み続けれらる酒です。
「栄光冨士」の人気の理由、レベルの高さが改めて分かる日本酒会となりました。
「ラベル」の「レベル」も、高かったように思います。
「無濾過生原酒」シリーズは大まかに3つのタイプに分類されるのではないかとおっしゃるお客様がいらっしゃいましたが、皆さん鋭い眼光をお持ちです。
それからお料理ですが…
先 付 赤茄子の生姜醤油浸し
前 菜 枝豆 つぶ貝 塩プチトマト 鶏南蛮
お造り 大分県産イサキ 沖縄県産アカイカ
焼き物 関西風白焼
煮 物 女将特製 冬瓜の冷製 焼き帆立の餡かけ
揚げ物 丸茄子の肉味噌田楽
食 事 うな丼 出し汁 薬味
香の物 胡瓜 大根 蕪 人参 守口漬
先付には、今が旬の赤茄子を使用し、生姜醤油に茗荷を加えて夏らしくさっぱりとした一品にしてみました。
前菜は、こちらも旬の枝豆、定番のつぶ貝、そして湯剥きしたプチトマトにほんのり塩で味付けすることで甘みを引き出したもの、さらには甘辛い葱入りのタレに漬け込んだ鶏南蛮をお作りしてみました。
お造りは、旬のイサキとアカイカです。
煮物は、女将の一品としまして、こちらも旬の冬瓜を下茹でし、ほぐした帆立の冷製のくず餡を掛けたものです。
鶏の骨付きもも肉の旨みをじっくりと煮だした出汁がポイントです。
揚げ物には、今が美味しい奈良県産の丸茄子と、茄子と相性のいい南瓜などの彩り野菜を、肉味噌でお召し上がり頂きました。
お料理はいかがでしたでしょうか?
28日(木)は23時からワールドカップ日本代表戦(日本VSポーランド)がありましたので、前夜祭のような日本酒会となりました。
締めも、元応援団の常連様にお願いしましたので、素晴らしいエールを頂き、大いに盛り上がりました。
何とか決勝トーナメントに薦めて良かったですね。
4代目ブログでも書きましたが、日本代表の試合前日の食事は「うな丼」なんだそうです。
鰻は、栄養価が高く、疲労回復の効果がある食べ物だと言われております。
今年の夏は、猛暑が続くようです。
皆さんも「鰻」をたくさん食べて、暑い夏を乗り切って下さい。
次回は9月の開催を予定しております。
どうぞよろしくお願い致します。
繁忙期突入の為、掲載が遅れまして申し訳ございませんでした。