第4回 雄町を楽しむ会

昨日「第4回 雄町を楽しむ会」を開催致しました。

ご参加頂きましたお客様、誠にありがとうございました。

 

酒米「雄町」につきましては、第2回、及び第3回の「雄町を楽しむ会」のブログにてご説明しております。

そちらをご参照くださいますようお願い致します。

 

それでは今回の出品酒ですが、乾杯酒を含めまして合計16銘柄です。

今回の乾杯酒は…

一番右端にあります「伯楽星 純米大吟醸 雪華 おりがらみ 生」です。

「雄町」を40%まで磨いた、新澤醸造店さんでは雄町酒の最高峰となる冬季限定酒です。

伯楽星と言えば、究極の食中酒を謳っておりますが、単体でも美味しく頂ける、きれいでキレのあるお酒です。

 

その他右から順番に…

①花邑 純米吟醸 雄町 生

②あざくら 中取り 純米吟醸 雄町 無濾過生

③山の井 50 純米大吟醸 生

④天明 中取り4号 純米大吟醸 おりがらみ 本生

⑤結 純米吟醸 備前雄町 亀口直汲み 生

⑥花陽浴 純米吟醸 雄町 おりがらみ

⑦木戸泉 特別純米 特濃にごり

⑧江戸開城 純米吟醸 雄町 原酒

⑨川中島 幻舞 純米吟醸 雄町 無濾過生原酒

⑩二兎 純米大吟醸 雄町 48 生原酒

⑪而今 純米吟醸 雄町 無濾過生

⑫十八盛 ORIGIN Fresh 山廃純米 雄町 直汲み無濾過生原酒

⑬長陽福娘 純米吟醸 雄町 うすにごり 生

⑭七田 純米吟醸 雄町 無濾過生

⑮東鶴 純米吟醸 雄町 荒走り 生

 

①、②は秋田県の酒です。

①は両関酒造さんが醸す限定酒で、「十四代」を醸す高木酒造さんの技術指導を受けて誕生したものです。

「高木酒造酒米三部作を楽しむ会」でも出品させて頂きましたが、その際は火入れバージョンでしたので、今回は生酒バージョンをお楽しみ頂きました。

②はひらがなラベルの中取りシリーズとなります。

このシリーズには米違いで「酒こまち」と「美郷錦」、そしてこの「雄町」で造られたものがありますが、「雄町」を除いてその他は、秋田県産の酒造好適米となっています。

個人的にはもちろん「雄町」で醸したこちらの酒も美味しいのですが、他の2つの酒米同様、秋田県産米で醸しても良かったのではないかと思っています。

 

③、④は福島県の酒です。

③は1987年生まれの若き蔵元杜氏、渡部景大さんが立ち上げたブランドです。

この29BYで初めて生酒としてリリースされました。

山の井50シリーズとして数種類展開するそうですが、第1弾となる雄町酒も素晴らしかったです。

④は11月から4月頃までだいたい月1本ずつリリースされている中取りシリーズです。

第4弾となるこちらは赤磐雄町を使用しています。

 

⑤は女性杜氏が醸す酒です。

杜氏の浦里美智子さんは、蔵元の娘さんではなく、お嫁さんというところが珍しいのではないでしょうか。

初めて醸した酒も雄町を使ったものでしたが、一年目から高評価だったそうで、その後も雄町サミットでは毎回のように優秀賞を獲得しています。

それだけ「結」と「雄町」は相性がいいのでしょう。

 

⑥は埼玉県羽生市に蔵を構える南陽醸造さんが醸す酒です。

太陽の日差しを浴びて大輪の花を咲かせたいという願いが込められています。

 

⑦は長期熟成酒にも力を入れている木戸泉です。

こちらは店舗限定の別誂品となる濃厚な活性にごり酒です。

「カルピスみたい!」というお客様も。

木戸泉酒造さんではすべての酒を「高温山廃もと」というこの蔵独自の方法で酒母を仕込んでいますが、麹菌、乳酸菌、酵母菌の3つの菌がのびのびと発酵するんだそうです。

50年以上のも前から同じ方法で造られているのは凄いですね。

 

⑧は23区内で唯一の酒蔵が醸す酒です。

江戸時代にはかなり繁盛していたそうですが、1909年に経営不振から酒造業から撤退していましたので、100年振りに復活しました。

北区で「丸眞正宗」という銘柄を造っていた小山酒造さんが廃業してしまいましたので、東京港醸造さんには是非頑張ってもらいたいものです。

さて、こちらの酒ですが、タンクごとに酵母や製造方法、アルコール度数を変えていますので、同じ雄町を使った酒でもかなり味わいや香りが異なります。

日々、目まぐるしく変化し続ける東京をイメージしているそうです。

 

⑨は⑤同様、女性杜氏が醸す酒です。

こちらの女性は、お嫁さんではなく、娘さんです。

杜氏になって今年で18年になると思いますので、もうベテラン杜氏と言ってもいいと思います。

この雄町を使った酒は26BYからとなると思いますが、愛山同様かなり生産量は少ないようです。

 

⑩は「雄町」と「山田錦」にこだわる銘柄「二兎」です。

「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざがありますが、この銘柄名はまさにそれとは相反する意味合いを持っています。

すなわち「二兎を追う者しか二兎を得ず」。

「味」と「香」、「酸」と「旨」、「重」と「軽」、「甘」と「辛」、相反する2つの事柄が生む最高のバランス、味わいを求めて造り上げられようとしている酒なのです。

味わいももちろん、ネーミングもいいですね。

 

⑪は日本酒会常連のお客様は皆さん大好きな銘柄です。

いつも無くなるのがとても早いです(笑)

 

⑫は岡山県の5つの酒蔵が結成した酒蔵ユニット「岡山ZARU」の一つ、十八盛酒造さんが醸したものです。

「NEXT5」や「DATESEVEN」などのユニットは今や有名ですが、まだまだ「岡山ZARU」は知名度は低いように思われます。

そこで今回は通常の商品ではなく、こちらの酒を皆様にご紹介させて頂くことにしました。

ここ数年は共通のテーマをもって5つの蔵が「ORIGIN」という酒を造っています。

29BYは「Fresh」がテーマですので、生酒でリリースされています。

 

⑬は山口県萩市に蔵を構えている岩崎酒造さんが醸す酒です。

火入れバージョンはお燗にしても美味しい酒ですが、今回は冷酒でご堪能頂きました。

 

⑭は米、水にこだわる天山酒造さんが醸す酒です。

2017年にフランスで開催された「KURAMASTER」という日本酒コンクールでプラチナ賞(最優秀賞)を受賞した生酒バージョンです。

フランス人に高く評価された酒は、我々日本人が飲んでも、もちろん美味しい酒でした。

 

⑮20BYから造られるようになった銘柄です。

28BYまでは60%精米の特別純米でしたが、29BYより55%精米の純米吟醸へと変更されたようです。

 

全体的に米がよく溶けたためなのか、例年以上に米の甘み、旨味のある酒が多かったように思われます。

好みは分かれていたようですが、どの酒もレベルの高いものでした。

 

 

それからお料理ですが…

先 付  胡麻豆腐の餡かけ 雲丹のせ

前 菜  空豆

浅利のぬた

芝海老の素揚げ

卵 クリームチーズの味醂粕漬け

お造り  鰹のタタキ ポン酢仕立て

焼き物  関西風白焼

煮 物  女将特製 豚の角煮 アスパラ添え

揚げ物  鱸の唐揚げ 彩り野菜 新玉葱ソース

食 事  うな丼 出し汁 薬味

香の物  胡瓜 大根 蕪 人参 守口漬

 

先付には、胡麻豆腐に雲丹をのせ冷製の餡をかけた、口当たりの良い涼しげな一品にしてみました。

前菜は、初夏らしい食材を並べてみました。そして濃厚な酒に合わせて、卵とクリームチーズを味醂粕漬けにしました。

お造りは、初鰹をタタキにしましたが、お客様からは本場高知で食べたものより美味しいとのお言葉も頂きました。

焼き物は、しばらく肝焼きが続き、白焼が食べたいとのリクエストが多数ありましたので、今回はこちらに。

煮物は、酒に合わせ、甘辛く煮た豚の角煮をお作りしました。

揚げ物は、これから旬を迎える出世魚の鱸を唐揚げにし、素揚げした野菜で彩りを盛り、少しだけ酸味を効かせた新玉葱のソースをかけました。

 

お料理はいかがでしたでしょうか?

 

7月8月は、繁忙期のため、残念ながら日本酒会は開催できません。

来月もどうぞよろしくお願い致します。