第3回 飲み比べを楽しむ会
昨日「第3回 飲み比べを楽しむ会」を開催致しました。
ご参加頂きましたお客様、誠にありがとうございました。
2018年度最初の日本酒会は、ご好評を頂いている飲み比べ企画とさせて頂きました。
それでは今回の出品酒ですが、乾杯酒を含めまして合計15銘柄です。
この中で乾杯酒とさせて頂いたのは…
一番右端にあります「出羽桜 酉 大吟醸」です。
山田錦を35%まで磨いた鑑評会出品酒と同等クラスのものとなります。
毎年発売されている「出羽桜 万禮 大吟醸」と同じスペックですが、何が違うのでしょう。
「酉 大吟醸」も「万禮 大吟醸」も鑑評会出品酒と同等クラスのものとされていますが、「酉 大吟醸」はさらに品質的にグレードの高いものになるそうです。
香り、味わい、余韻、どれをとっても素晴らしいものでした。
また、「万禮 大吟醸」はマイナス5度で約2年間熟成されたものであるのに対し、「酉 大吟醸」はマイナス5度で約2年、そして約10度で飲み頃になるまで約1年間熟成させてから出荷されたものになります。(正確には両銘柄ともマイナス5度から多少温度を変えているそうですが)
実はこちらのお酒、小泉商店さんの90周年記念として発売されたものです。
おそらく、1回限りの限定品ということになるのではないでしょうか。
まさに乾杯酒にふさわしい逸品でした。
その他右から順番に…
①NEXT5 THE HARVEST 2017
②新政 平成29年度 東北清酒鑑評会優等賞受賞酒
③風の森 ALPHA TYPE4
④風の森 ALPHA TYPE2
⑤上喜元 純米大吟醸 辨慶
⑥田酒 純米吟醸 辨慶
⑦而今 純米吟醸 吉川山田錦
⑧鍋島 純米大吟醸 吉川山田錦
⑨貴 純米大吟醸 吉川山田錦
⑩貴 純米大吟醸 赤磐雄町
⑪貴 純米大吟醸 多可山田穂
⑫悦凱陣 山廃純米 無濾過生 美山錦
⑬悦凱陣 山廃純米 無濾過生 花巻亀の尾
(番外編)久保田 雪峰 山廃純米大吟醸
①②はNEXT5とそのメンバーでもある新政酒造さんが醸した出品酒となります。
今回のNEXT5は「一白水成」を醸す福禄寿酒造さんがリーダー蔵となって醸しています。
第6弾目から、国内外の様々なジャンルの大家とコラボレーションを行うことをテーマにして醸造しており、今回は、建築家である田根剛氏とのコラボが実現しました。
田根剛氏は、東京オリンピックの新国立競技場のデザイン協議でファイナリストにも選ばれた方です。
この瓶の凹凸は、米の精米歩合を下から上に玄米から40%までの酒米を表現しており、実際の米を貼り付けたものを具現化しているので、凹凸にはふたつとして同じものはありません。
製造にあたり、かなりの手間とコスト、時間がかかったのではないかと推測されます。
口当たりも良く、日本酒にあまり馴染みのない方にも飲んでいただきたいお酒でした。
飲み終わった瓶は、
気が付けば、なくなっていました(笑)
一方、今回の新政酒造さんのお酒はもともと若手職人たちによる「チャレンジタンク」として醸造されたものでしたが、仕上がりが予想以上に良く、いくつかの品評会でも優秀な成績を収め、タイトルにもなっております東北清酒鑑評会でも優等賞を受賞することができたので、これを記念してリリースされたものになります。
今回の出品酒の中でも1、2を争うほど、ご好評を頂いたようです。
③④は従来の風の森の枠を超えて目標を定め、独創的な技術で日本酒の可能性を追求するブランド「ALPHA」シリーズです。
どちらも奈良県の契約栽培米秋津穂を22%まで磨いていますが、その上槽方法に違いがあります。
TYPE2は「機械搾り」となっていますが、TYPE4は「氷結採り」という独自開発の革新的な日本酒の分離技術が用いられています。
通常、醪を酒粕と日本酒に分離する際、必ず何か道具を用いていました。
それを発酵タンク以外のいかなる装置(搾り機、遠心分離機、濾布など)も使用せず、無酸素無加圧状態で日本酒を分離することができるようになったわけです。
これにより、通常、日本酒を搾る工程で醪が接触していた酸素や濾布、金属、樹脂などと、一切接触する事が無くなりました。
そのため、氷結採りによって分離されたお酒は、もろみの液体部分と全く同一のものとなり、圧倒的な透明感で、上質な日本酒を味わうことができるのです。
ただし、今回のTYPE4は少しおりがらみの状態になっておりました。今後は条件を見直しながら、完全に透明な日本酒が取れるような状態をみつけていきたいということでした。
マイナス5度の冷蔵庫での保管でしたが、開けると王冠が吹き飛ぶほどのガス感がありました。
⑤⑥は希少酒米「辨慶」で醸したお酒です。
山田錦が登場する以前は、兵庫県を中心に生産が行われており、当時は山田穂と共に2大酒米として人気を博していました。
その後、生産量が徐々に減少し廃れていましたが、再び兵庫県で生産されるようになり、様々な酒米を使いこなす酒田酒造さんの手によってお酒が醸されるようになりました。
その流れに、西田酒造店さんも加わったというわけです。
100%辨慶を使用したお酒はこの2銘柄以外にも、もしかするとあるのかも知れませんが、入手できたこの2つを飲み比べて頂きました。
⑦⑧⑨は兵庫県の特A地区吉川産の山田錦を使用して醸されたもので、すべて50%精米となっています。
⑧の吉川産の山田錦で醸した「鍋島」は28BYから造られるようになりました。
今後はさらに産地の特性(テロワール)を生かした日本酒が造られるようになるのではないでしょうか。
⑨⑩⑪は「貴」のプレミアムシリーズです。
こちらは酒米は全く異なりますが、産地を指定して醸されたお酒になります。
⑪に関しては1年半以上蔵内で低温貯蔵され、飲み頃と判断された頃に出荷されたものです。
とりわけ、⑩の評判が良かったようです。
⑪の美山錦は26BYで初めて使用されたものですが、その後は造られてはいません。
そういう意味では、希少価値の高いものだったのではないでしょうか。
酸度はやや高めになっています。
一方、⑫は初めての飲み比べ企画の際、「悦凱陣」の山廃純米の飲み比べとして「海老名亀の尾」「遠野亀の尾」と「亀の尾」で醸したものを出品致しましたが、新たに「花巻亀の尾」も加わりましたので、⑪と同じく70%精米の山廃純米の飲み比べとして、今回は出品させて頂きました。
お燗にすると、どちらもこれぞ「悦凱陣」という味わいを堪能できたようです。
(番外編)は昨年発売された「久保田 雪峰」です。
同じ新潟県のアウトドアメーカー「スノーピーク」とのコラボで誕生したお酒です。
山廃仕込みの純米大吟醸ですが、こちらはお燗にするより、冷酒や冷やで飲む方が良さそうです。
それからお料理ですが…
先 付 女将特製 紅白なます 干し柿と柚子入り
前 菜 イカの酒粕味醂粕漬け 半熟卵の牛しぐれ煮のせ せりの胡麻和え
お造り 鳥取県産 天然寒ブリ
焼き物 鰻肝焼き
蒸し物 女将特製 空也蒸し
揚げ物 京芋の揚げ出し
食 事 うな丼 出し汁 薬味
香の物 胡瓜 大根 蕪 人参 守口漬
先付は女将の一品としまして、お正月は過ぎてしまいましたが、大根と人参で紅白らしく、なますをお作りしてみました。
アクセントとして、干し柿の甘みと柚子の酸味を加えました。
さっぱりとお召し上がり頂けたのではないでしょうか。
前菜には、イカを丸2日間酒粕味醂粕に漬けて焼き上げたもの、半熟卵の煮卵に女将特製の牛しぐれ煮をのせたもの、そしてこれから旬となるせりの胡麻和えをご用意いたしました。
お造りは、今が旬の脂がのった天然の寒ブリです。
蒸し物には、こちらも女将の一品としまして、豆腐料理の一種、空也蒸しです。
葛餡で冷めにくく、寒い季節にはぴったりな一品です。
揚げ物は、別名でタケノコイモとも言われる、今が旬の京芋を使った揚げ出しです。
そして、年始の特別企画としまして、最後に「じゃんけん大会」も行いました。
こちらの女性三名が、じゃんけんで勝ち残った三名です。
女性、強し(笑)
一番目の方は「鳳凰美田 鳳 大吟醸 金賞受賞酒」
二番目の方は「而今 純米吟醸 千本錦 無濾過生」
三番目の方は「水芭蕉 純米大吟醸 雪ほたか」
をお持ち帰りになられました。
今年もたくさんいいことがありそうですね。
来月もよろしくお願い致します。