第2回 愛山を楽しむ会
昨日「第2回 愛山を楽しむ会」を開催致しました。
ご参加頂きましたお客様、誠にありがとうございました。
酒造好適米「愛山」が誕生したのが1941年、育成されたのが1949年になります。
兵庫県の一部の農家で栽培されている酒米で(現在は他県の農家でも極少量栽培されているようですが)、幻の酒米とも呼ばれています。
「愛船117」と「山雄67」という酒米を交配してつくられましたが、「愛船117」の親にあたるのが「愛知三河錦4号」と「舟木雄町」、そして「山雄65」の親にあたるのが「山田錦」と「雄町」になります。
すなわち「愛山」の祖父母には「雄町」があり、「山田錦」も「雄町」の孫にあたりますので、「愛山」という酒米は「雄町」の血筋を色濃く受け継いでいることがわかります。
濃醇な酒になりやすいと言われているのも頷けます。
サラブレッド的な酒米である「愛山」も背丈が高く、栽培が難しかったこともあり、栽培する農家も少なく、灘の剣菱酒造さんが兵庫県の一部の農家と契約し、独占的に使用していました。
しかし、1995年阪神淡路大震災により、剣菱酒造さんも被災してしまい、残っていた「愛山」を「十四代」を醸す高木酒造さんが使い始めたのがきっかけとなり、他の蔵も使用するようになりました。
これにより「愛山」の生産量はH16年度産で222トン、H21年度産で369トンでしたが、H27年度産では569トンと徐々に生産量は増えてきています(ただし、まだまだ高値で取引されているようです)。
ちなみに「山田錦」はここ数年で大幅に増えており、H21年度産で21,126トンでしたが、H27年度産では39,549トンとなっています。
それでは今回の出品酒ですが、乾杯酒を含めまして合計14銘柄です。
この中で乾杯酒にさせて頂いたのは…
一番右端にあります「十四代 純米大吟醸 極上諸白」(山形県)です。
「愛山」の他に、兵庫県特A地区産の「山田錦」を25%しておりますので、100%「愛山」のお酒ではありませんが、今月の入荷を予定していた「十四代 中取り 純米吟醸 愛山」が日本酒会開催日までに間に合いませんでしたので、こちらをご用意させて頂きました。
こちらも極上と呼ぶにふさわしいお酒でした。
その他右から順番に…
①まんさくの花 巡(純)米吟醸 愛山 一度火入原酒 プレミアムエディション(秋田県)
②栄光冨士 純米大吟醸 愛山 無濾過生原酒(山形県)
③飛露喜 純米吟醸 愛山 生(福島県)
④寫楽 純米吟醸 愛山(福島県)
⑤辻善兵衛 純米大吟醸 愛山 斗瓶囲い(栃木県)
’⑥若駒 愛山90 無濾過生原酒(栃木県)
⑦磯自慢 大吟醸 愛山 グラッパボトル(静岡県)
⑧川中島 幻舞i 純米吟醸 愛山 無濾過生原酒(長野県)
⑨十六代九郎右衛門 純米吟醸 愛山 無濾過生原酒(長野県)
⑩作 槐山一滴水 純米大吟醸 愛山(三重県)
⑪篠峯 純米大吟醸 愛山 無濾過生原酒(奈良県)
⑫風の森 純米しぼり華 愛山80 無濾過無加水生(奈良県)
⑬七田 純米 愛山 七割五分 生(佐賀県)
①は一年を巡って季節により酒米が変動するシリーズ(酒米以外はすべて条件が同じ)となっていますので、純米吟醸を「巡」米吟醸と遊び心(?)で付けたと思われます。
一年かけてすべてのお酒を集めて、いつか日本酒会を開催してみても面白いかも知れません。
ちなみに「愛山」はこのシリーズの締めくくりとなる先月5月に発売されたものです。
口に含んだ瞬間から美味しいとおっしゃっていたお客様もいらっしゃいました。
②はワイン評論家のロバート・パーカーさんが2016年にこのお酒に92点(100点満点)を付けたものです。
③④は福島県が誇る大人気銘柄の飲み比べとなります。
「飛露喜」が生酒で、「寫楽」が一回火入れとなってはいますが、同じく50精米となっています。
今回は「飛露喜」に軍配をあげる方が多かったようですが、「寫楽」も素晴らしい出来栄えでした。
⑤⑥は栃木県のお酒になります。
「辻善兵衛」は斗瓶囲いの限定品となっています。
やや辛口で、飲み飽きすることのない逸品でした。
「若駒」は90%精米となっており、おそらく「愛山」で醸した日本酒の中では最も低精米なお酒だと思われます。
ただし、精米歩合が90%とは思えない仕上がりです。
⑦は「愛山」を醸す銘柄として純米大吟醸もありますが、今回は大吟醸です。
個人的な好みは純米大吟醸ですが、皆様はいかがでしょうか。
⑧⑨は長野県のお酒の飲み比べです。
両銘柄は精米歩合55%かつ無濾過生原酒となっています。
幻舞はやや甘みが強かったようです。
⑩は「而今」と並び、当店でも人気の銘柄です。
「雄町」同様、純米吟醸から純米大吟醸にグレードアップしました。
値段は少々高めですが、今回も大人気でした。
⑪⑫は奈良県のお酒です。
「篠峯」は第1回目のとなる「愛山」の日本酒会では純米酒を出品しましたので、今回は純米大吟醸のものを出品させて頂きました。
「風の森」同様、やや微発泡感のあるお酒でした。
⑬はCPの良い七割五分シリーズです。
こちらもいつかシリーズもので飲み比べてみたいものです。
それからお料理ですが…
先 付 蛸のオクラ掛け
前 菜 日本一こだわり卵の酒粕味醂粕漬け 磯つぶ貝 長芋の梅肉ソース
お 造 り 鯵の姿造り
焼 き 物 関西風白焼
煮 物 女将特製 冷やし茄子と冬瓜 じゅんさいの本葛餡掛け
揚 物 とうもろこしと枝豆のかき揚げ
香 の 物 胡瓜 大根 人参 蕪 守口漬
食 事 うな丼 薬味 出し汁
先付は身体に良いと言われているねばねばのオクラを使って、蛸と合わせて山葵風味の出汁醤油を掛けてお召し上がり頂きました。
前菜には2日間以上漬け込んだ玉子、お出汁で味付けした煮つけ風の磯つぶ貝、そしてさっぱりとした長芋の梅肉ソースをお作りしてみました。
お造りには今が旬となる鯵を姿造りにしてお出ししました。
焼き物には前回ご好評を頂いた山椒味噌もお付けし、関西風白焼を塩かどちらかお好みでお召し上がり頂きました。
煮物には女将の一品として、旬の茄子、冬瓜、そしてじゅんさいを使った冷製の一品です。
揚げ物はこちらも旬のとうもろこしと枝豆でかき揚げをお作りしました。
お料理はいかがでしたでしょうか。
7月と8月は繁忙期のため、残念ながら日本酒会は開催できませんので、次回の開催は9月を予定しております。
お陰様で今回も大盛況で終えることができたのではないかと思っております。
というのも、ご用意していました14銘柄すべてが空瓶に!!
同じお米で醸したお酒でも蔵が違えば、味わいもこれだけ異なることにびっくりされている方も多数いらっしゃいました。
皆さんに喜んで頂き、今回も企画開催した甲斐がありました。
ありがとうございます。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。